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ベアバック・ライディング Bareback Riding |
ベアバックライディング(通称「ベアバック」)は、もう一つのブロンコ(暴れ馬)種目、サドルブロンコとは異なり、馬に鞍は装着されない。代わりに、馬の首と背中の付け根にリギング(Rgging)と呼ばれる革製のストラップでくくり付けられたハンドルを片手で握って8秒間乗る。反対の手は空中に上げてバランスをとるが、この手が8秒間乗り切る前に選手の体、器具、馬、地面に触ると失格となる。8秒経ったら、すばやく降りなければならない。
8秒間乗り切らないと失格で得点はゼロになる。8秒間乗り切ると、ジャッジによりライダーが50点満点、馬が50点満点で採点され、それら2つの合計が選手の得点として与えられる。因みに、どの馬に当たるかは抽選で決められる。
サドルブロンコ同様、ライダーがシュート(Chute)と呼ばれる囲いから出てくる時、ライダーの踵が馬の肩かそれより高い位置になければ失格となり、出てきた後も馬の前足が再度地面に触れるまでその位置を維持しなかった場合も失格である。この行為はスパーアウト(Spur-Out)、又はマークアウトと呼ばれる。
馬の前足が地面に触れ、馬が再度跳ね上がるときに合わせてライダーは爪先を外向きの状態で膝を曲げ、拍車の花車を首に押し付けて転がしながら踵を出来るだけリギングに近いところまで引き上げる。馬が低下しだすとライダーは即座に足を伸ばし、踵を馬の首に戻す。この一連の動作をスパーリング(Spurring)と呼ぶ。
馬のジャンプごとに選手の足がどれ程曲がり、どれ程真直ぐに伸ばされるかで点数は変動する。これ以外にも爪先がどれ程外に向けられているか、選手が体をどれ程中央に保てられるか、脚の動きが馬のジャンプのリズムと一致しているか、スパーリングが8秒間継続して行われたかなどが審査の対象となる。よく誤解されがちなのが、もう少しで落ちそうなところで頑張ってこらえた場合。この場合、ライダーに与えられる点数は低くなる。リズム良く乗れておらず美しくないからだ。ライダーの頑張りに対して点数の低いので観客からはブーイングがでるが、見ている人も採点基準を知らない人も結構多い。
ベアバックライディングは、ロデオの正式種目の中で最も歴史が浅い種目である。ロデオ種目の殆どは19世紀のカウボーイの日常生活や仕事から生まれたものだが、ベアバックだけは20世紀初頭にロデオが盛んになっていくにつれて生まれたもので、正式にロデオ種目として認定されたのは1932年になってからである。
筋肉が極限まで引っ張られ、関節に多大な圧力をかけるベアバックはロデオ種目の中で最も肉体疲労が激しく、選手の負傷も最多であり、また、長期的後遺症も他の種目と比べ数多くみられる。