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Chasing The Dream - 芝原 仁一郎

Written by Jin'ichoro Shibahara. 芝原仁一郎


シーズン 2008

8月15日(金)
Farmington, UT. ファーミントン、ユタ:風
Davis County Fair & PRCA Rodeo デイヴィス・カウンティ・フェア・アンド・PRCA・ロデオ (PRCA)

風が強い。

強烈な横風のために、会場の周囲の木々が波打つように揺れている。砂塵が舞い、コンタクトをつけている私の眼には痛い。まだ明るいはずなのに、空は雲で覆われていて、どんよりとしている。

エントリー・フィー$120を支払い、チェック・インを済ませた。ダイアモンド・“G”・ロデオ社(Diamond “G” Rodeos, Inc.)のスティーブとシンディに声をかけ、ブルを探しに行った。この日のブルは#T49ティード・オフ(Tee’d Off)。先週知り合いのユタのブルライダーが乗ったブルで、残念ながら彼は7.6秒で落とされた。白い顔に薄茶の身体、大きくはない。

ソルトレイクのロデオで写真を撮ってくれた写真家がまた来ていた。「おめでとう、仁一郎!!」先週のことはすでにメールで知らせていた。幼少の頃、日本に数年滞在した経験のある彼は、私のことをフルネームで呼ぶ。「たぶん、またESPN.comが“その後の話”として君とインタヴューするかもよ」。だとしたら、それはそれでありがたい。

この日のロデオは変則的だった。ベアバックライダーが1人しか出場しなかったために、サドル・ブロンコの直前に彼を組み込んで、スティア・レスリングが最初の種目として始まった。悲しい話でもある。前々から書いているが、ベアバックライダーは減少の一途を辿っている。

ブルライディングまでも早かった。観客席から見て左側のデリヴァリーにティード・オフが入ってくる。左側だが、顔は右を向いている。シュートへの入れ方によって、顔の向きは変わるが、私たちにとっての向きは“右”となる。

シンディから私が最初に出るといわれた。バレル・レーシングが終わって、私の出番だ。


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先週と同じく、最初から右腕を頭の前にかざし、出る。先週は2度のジャンプのあと左へ回った彼だったが、この日は違った。2度のジャンプのあと、3回目で四本の足が宙に浮く。私も「飛んだ!!」と感じたほどだ。左に向きを変え着地し、そのあと両後ろ足を右へひねり、顔も右へ向け少し横向きになるような形で飛ぶ。左に傾いだ私の身体はそこで落ちた。

残りの選手のライディングを見届けたが、8秒乗り切ったのは1人だった。

風のためか、人の引きも早い。瞬く間にアリーナは静寂に包まれた。

遠くテキサスから来ていたブルライダー2人に別れを告げて、私も会場を後にした。

家まではわずか30マイルしかない。

先週に引き続き今週も、と意気込んだ私に、風は、追い風とはならなかった。

芝原仁一郎

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